不動産登記の実務に就いていると、職権更正を見かけることがたまにあります。
職権更正とはどんな制度でどのような場合にされるのか、そしてその効果はどのようなものなのかを実務歴10年以上の司法書士有資格者が解説します。
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職権更正とは
職権更正とは不動産登記法第67条第2項の規定です。
(第2項)
登記官は、前項の場合において、登記の錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。
ただし、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の更正につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この項において同じ。)がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る。
不動産登記法第67条
要は登記官が自分のミスで登記をしてしまったら職権で更正登記を入れますよ、という意味です。
登記官も人間なので間違える場合があるので、それに対する規定と言えます。
これはその職権更正の記載がある謄本です。
これを見てわかるように、職権更正はその登記が残される、という点です。
登記官が更正するならミスした箇所をピンポイントで直せばいいと思うかもしれませんが、このように更正した履歴が残ります。
登記官の過誤とは言え、こうやって登記に残ってしまうのは嫌ですよね。
まとめ:登記完了後のチェックもちゃんとやろう
以上の通り職権更正について解説しました。
ここで重要なのが、登記官もミスをすることがあるので、登記申請後はちゃんとこちらが登記申請した内容が登記簿に反映されているかを司法書士であればチェックしなければならないということです。
人によっては「登記官がやるんだからチェックしない」という人もいますが、このような事が起きた時にチェックをしないと以下のような不利益があります。
- 発見できないという司法書士としての落ち度
- 間違った記載の事後謄本をお返ししてしまい信用を失う
このようにならないためにも登記完了後のチェックも怠らずしっかりやりましょう。
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