司法書士試験における「枠ズレ」とは一般的に午後の記述式における解答欄の順番間違いの事です。
特に記述式の中でも不動産登記法において枠ズレが生じます。
不動産登記法の記述式では、「〇番目に申請すべき登記申請の必要箇所を記入しなさい。申請すべき登記がない場合には解答欄に斜線を・・・」といった出題がされます。
これって実はめちゃくちゃ意地悪な出題なんです!!
登記申請が「〇件ありますよ~」だったらガシガシ記入していけるのですが、「書かない」という選択肢があることにより、更にしっかりとした理解が求められます。
今回はこのような記述式における枠ズレは「なぜ起こるのか」、そしてその「対処法」について司法書士試験合格者である私が解説していきます。
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社会人として働きながら司法書士試験を受験し、5回目で合格する事ができました。
実務歴も10年以上あります。
長い受験生活と実務歴を基に、司法書士に関わる人へお役立ち情報をたくさん発信していますので、他の記事も是非ご覧ください。
なお、司法書士について詳しく知りたい方は先にこちらの記事からご覧ください。
そもそも司法書士試験で枠ズレはなぜ起こる?採点者の意図は?

最大の原因は、設問を読み切れていないこと。
理由は単純ですが、意外と根深い問題だと思っています。
午後の試験は択一と含めて3時間しかないため相当焦っている状態です。
しかも記述を「書ききらなくては」という思いから設問を駆け足で読み流してしまってはいませんか?
これこそが枠ズレが起きてしまう最大の原因。
そしてこれは採点者の意図でもあります。
どういうことかというと、あくまでも私の予想ですが、採点者はなるべく採点の負担を楽にしたいのだと思います。
イメージしてみてほしいのですが、採点者にとって枠ズレしている解答用紙はもうその欄をチェックする必要がないので簡単だと思いませんか?
採点が簡単であれば採点ミスも減ります。
このように簡単でありながら、受験者のレベルも計ることができ採点者にとっては一石二鳥。
そのため受験者は何としてもこの枠ズレを防がなければなりません!
そして、記述式にはいたるところにトラップが張り巡らされています。
設問はもちろんの事ながら、別紙の書類の中もそうです。
「注意事項」を読み飛ばしてしまう人も多いです。
この注意事項には、解答する上で根底になることが記載されています。
✅注意事項の例
- 「〇番目の登記の必要箇所を記載しなさい」
- 「登記申請がない場合には斜線を」
- 「添付情報は登記原因を除いて記載しなさい」
書類も膨大で商業登記もあるので、時間はないのはわかりますが、設問を冷静に読み切れるだけの時間の確保できるようにしましょう。
目安としては、午後の択一式を1時間以内で終わらせるくらいの実力が必要です。
枠ズレをしないための対処法

原因がわかればあとはそれを改善していくだけです。
対処法としては以下の通りです。
✅枠ズレをしないための対処法
- 1文字残らず読む(結論)
- 実態法の理解を深める(超重要)
当たり前と笑う事勿れ!
この当たり前を当たり前にできるかどうかが合格ラインに達しているかどうかのバロメーターであるとも言えます。
1文字残らず読む(結論)
じゃあ1文字残らず読んでください、だとあまりにも素っ気ないので、私がやっていた方法を2つご紹介します。
読んだ箇所にラインを引いていく
読んだ箇所にラインを引くことによって、どこが読んだ箇所でどこが読んでいない箇所なのかがすぐわかるので、「抜けてしまった」という事が無くなります。

記述式において抜けがあったせいで合格を逃すなんて言うのはよくある話です。
それをしないための対策を講じましょう。
なお、私はシャーペンを使っていましたが、鉛筆でもボールペンでもマーカーでもいいでしょう。
自分の使いやすい物を使ってください。
ちなみに、司法書士試験の持ち物リストについて解説した過去の記事があるので、よかったら読んでみてください。
注意事項から読む
注意事項は大体設問の最後にあるので、最後に読んでしまうから時間が無くなってしまいます。
だったら1番最初に読んでしまえばいいのです。
また、最初に読むことによって印象が強くなります。
心理学でも「初頭効果」と呼ばれ、最初の印象の方が後の印象よりも強いという事が実証されています。
以上の2つをやっておけばマジで「抜けてしまった」とか「わかっていたのに」という事が激減します。
実際に私が合格した年にもやっていたテクニックなので、悩んでいる人はぜひ実践してみてください!
実態法の理解を深める(超重要)
実体法の理解を深めるのは超重要です。
なぜなら記述式は不動産登記法の前提がわかった上で、実体法の理解を問われるからです。
登記の目的や原因、添付情報の抜けはまだ原点が低いですが、実体法がわかっていなければ原点どころか点数を貰えません。
そして枠ズレが生じてしまうのも実体法の理解が浅いためであることが大きな原因です。
例えば今、根抵当権の元本確定事由をちゃんと状況をイメージして答えられますか?
根抵当権の元本確定は記述式でも頻出問題ですし、元本が確定したかどうかをしっかり判断できないと、元本確定登記を入れるのか否かを判断できません。
他にも名変(所有権登記名義人表示変更)や、登記原因日付に影響を及ぼす農転(農地転用)なども司法書士試験が好みそうな論点です。
難しい雛形を覚えるよりもこういった登記と密接に絡む実体法の理解を深めることが枠ズレを防止する最大の対処法と言えます。
まとめ:

今回は司法書士試験の枠ズレについて理由と対処法を解説しました。
枠ズレは焦っていると合格レベルにある人でも起こりうる現象です。
しかし事前に対策を取ることで、枠ズレは確実に減らすことができます。
司法書士試験ではこういった個別の対策をいかにどれだけとることができるかが合格レベルに達するカギだと思いますので、もしここら辺の対策ができていない人は今回を機に今すぐにでも即実践してみてください!!
記述式の対策について解説した記事もありますので、是非ご覧ください。
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