司法書士ってどんな資格だろう?
こんな悩みを持った方に司法書士とはどんな資格かを分かりやすく解説します。
私は司法書士という資格を本屋さんの資格一覧の本で初めて知ったのがきっかけでした。
その後働きながら5回目の司法書士試験で合格する事ができました。
なお、私の詳しいプロフィールはこちらです。
それでは解説にいきましょう。
司法書士とは
司法書士は普段の生活でなかなか聞き馴染みのない資格です。
そんな司法書士はどんな仕事なのか?試験は?といった観点から解説し、弁護士・行政書士との違いも解説します。
司法書士の仕事
司法書士は、法務局・裁判所・検察庁へ提出する書類の作成を代理します。
そしてこれは司法書士の独占業務です。
士業全般、書類を作成することが業務のメインになりますが、その書類をどこに提出するかが各士業の業務の棲み分けになります。
具体的には次のような業務が主な業務です。
✅司法書士の主な業務
- 不動産の売買や贈与、相続に伴う登記申請
- 株式会社の設立や役員変更の登記申請
- 簡易裁判所の訴額140万円以下の代理
- 認知症のお年寄りに代わって財産を管理する成年後見人
これはほんの一例であり司法書士ができる仕事はまだまだたくさんあります。
なので、これから司法書士を目指す人にとっても色々な分野で活躍できる可能性は十分に残っています。
司法書士は登記をすると思っている人も多いですが、それは正確には❌です。
「登記」をするのはあくまで法務局の登記官であり、司法書士は登記をしてもらうための「申請」を「代理」することが仕事です。
✅ちなみに
司法書士の仕事と働き方についてもっと知りたい人にはこちらの書籍がおすすめです。
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司法書士になるには?
司法書士になるには次の2パータンがあります。
- 司法書士試験
- 特認制度
司法書士になるためにはこの2パターンしかなく、「他の資格を持っていれば免除」のような制度はありません
司法書士試験
次章で詳しく解説しますが、司法書士を目指す場合、通常はこの試験を受けることになると思います。
司法書士試験自体に受験資格はなく、未成年者であっても受験できます(もちろん合格もできます)。
試験は年1回で通常7月の第1日曜日に行われ、午前2時間、午後3時間の試験です。
午前と午後の両方に足切り点が設けられており、いずれの足切り点も越え、なおかつ合格点以上を取らなければ合格できません。
また、午前と午後の試験のいずれかが足切り点を上回って不合格だった場合でも、翌年は改めて両方受けた上でまた、足切り点と合格点を上回らなければなりません。
合格点も年によって変わる相対評価の試験であるのも司法書士試験の特徴です。
司法書士試験の概要は次章で更に詳しく解説します。
特認制度
これは「そういう制度もあるんだ」程度に知っててもらえれば大丈夫です。
要約すると、特定の者が5or10年以上職務に従事している場合に司法書士の資格を付与する事ができるという制度です。
第1条 次に掲げる者は,法務大臣に対し,資格認定を求めることができる。
(1 ) 裁判所事務官,裁判所書記官,法務事務官又は検察事務官として登記,供託若しくは訴訟の事務又はこれらの事務に準ずる法律的事務に従事した者であって,これらの事務に関し自己の責任において判断する地位に通算して10年以上あったもの
(2 ) 簡易裁判所判事又は副検事としてその職務に従事した期間が通算して5年以上の者 第2条 司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有するかどうかの判定は,口述及び必要に応じ筆記の方法によって行う。
司法書士の資格認定に関する訓令
司法書士と弁護士の違い
弁護士の業務範囲は広く、司法書士の業務範囲までも行う事ができます。
しかし、弁護士は紛争の解決をメインにしているのに対し、司法書士は紛争を未然に防ぐ役割を担っています。
それがそのまま弁護士と司法書士の存在意義であると言えます。
多くの人が想像するように「弁護士=裁判」、「司法書士=登記」のイメージです。
弁護士は扱える範囲は広いですが、登記に関しては間違いなく司法書士がスペシャリストです。
業務範囲は被ってしまうものの、司法書士は登記に特化した資格であり、弁護士とは違った強みを活かした資格であると言えます。
司法書士と行政書士の違い
1番混同しやすい資格だと思います。
司法書士も行政書士も書類作成の代理を業としている点では同じです。
しかし、先程の「司法書士の仕事」の部分で述べましたが、書類をどこに提出するか?というのが、司法書士と行政書士の違いです。
書類の提出先 | |
司法書士 | 裁判所・法務局・検察庁 |
行政書士 | 官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等) |
司法書士試験について
司法書士を語る上で外せないのが司法書士の試験についてです。
いくつかの項目に分けて司法書士試験の概要を解説します。
司法書士試験の概要
司法書士試験の試験科目・難易度・合格率を解説します。
試験科目
司法書士試験の構成は次のようになっています。
科目 | |
---|---|
午前の部(択一) | ・憲法 ・民法 ・刑法 ・商法(会社法) |
午後の部(択一) | ・民事訴訟法 ・民事執行法 ・民事保全法 ・供託法 ・司法書士法 ・不動産登記法 ・商業登記法 |
午後の部(記述式) | ・不動産登記法 ・商業登記法 |
11科目もありますが勉強量の強弱はあれど捨てていい科目は1つもなく、全ての強化を一通りマスターする必要があります。
司法書士試験の概要はこちらでも解説しています。
午前の部(択一式)
午前の部は択一式のみで試験時間は2時間です。
科目と問題数は次のとおりです。
科目 | 問題数 |
憲法 | 3問 |
民法 | 20問 |
刑法 | 3問 |
商法(会社法含む) | 9問 |
民法と会社法という実務でも必須の科目が午前の部の問題数の8割以上を占めています。
この民法と会社法を制することが午前の部を制すると言っても過言ではありません。
司法書士試験では午前の部に基準点が設けられています。
この基準点はその年ごとに点数が変わってくる相対評価になります。
午前の部の試験対策と勉強法についてはこちらの記事でも詳しく解説しているのでご覧ください。
午後の部(択一式)
午前の部は4科目だったのに対して、午後の部は試験科目が7科目と倍近く多くなります。
科目 | 問題数 |
民事訴訟法 | 5問 |
民事執行法 | 1問 |
民事保全法 | 1問 |
司法書士法 | 1問 |
供託法 | 3問 |
不動産登記法 | 16問 |
商業登記法 | 8問 |
午後の部の試験は択一式と記述式が一緒になっており、試験時間は3時間です。
この後記述式についても解説しますが、記述式は設問を読んだり、登記の構成を考えたり、実際に手を動かして書いたりと時間が足りません。
また午後の部を苦手としている受験生が多いのか、例年基準点は午前の部よりも低くなります。
しかし、先ほども述べたように、手続法が中心なので、基本さえしっかりしていれば迷わずに解答できます。
午後の部(記述式)
記述式は不動産登記法と商業登記法で1問ずつ出題されます。
難易度
難易度で言えば司法書士試験は間違いなく日本最難関試験の1つです。
一概に比べるのは難しいですが、司法書士試験の難しさを偏差値にした場合、東大入試よりも難しいという衝撃の結果になりました。
合格率
合格率は3〜5%です。
過去3年の受験者数・合格者数・合格率の推移は以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和3 | 11,925人 | 613人 | 5.140% |
令和2 | 11,494人 | 593人 | 5.159% |
令和元 | 13,683人 | 601人 | 4.392% |
単純計算で100人受験して5人合格するかどうかという割合だね
司法書士試験の勉強手段
司法書士試験の勉強手段は次の3つの方法があります。
- 通信講座
- 予備校
- 独学
法書士試験に合格することはゴールではなくスタートラインに立つ条件なので、できるだけ早く合格することが最善の手であると言えます。
通信講座や予備校はあなたの合格を早めてくれるいわば「特急券」なので、自分への投資だと思って活用する方がおすすめです。
通信講座
近年は新型コロナの影響もあり通信講座が急激に伸びました。
以前までは通学する資格予備校がほとんどでしたが、リモートワークが普及したことにより通信講座で受講することに抵抗が少なくなったのも要因の一つと考えられます。
通信講座のメリット
- 時間と場所を選ばず受講できる
- 費用が通学型の予備校に比べて料金が割安
- 講義を繰り返し見ることができる
通信講座のデメリット
- 受験仲間を作りにくい
- 講義に緊張感がない
司法書士通信講座のおすすめと費用についてそれぞれランキングにしました。
司法書士試験を目指すなら現状は通信講座が最適解です。
合わせて是非ご覧ください。
✅おすすめランキング
✅安い順ランキング
予備校
通信講座が伸びてきた一方で通うタイプの資格予備校もまだまだ根強い人気です。
資格予備校の歴史は古く実績については合格者を多数輩出していることからも伺えます。
予備校のメリット
- 目の前のライブ講義だと吸収力が高い
- 講義終了後に直接先生に質問できる
- 受験仲間が増え一緒に切磋琢磨できる
予備校のデメリット
- 予備校に行く時間が取られる
- 仕事をしていると講義開始の時間に合わせられない
独学
司法書士試験位独学で挑むのは賢明ではないです。
司法書士試験は科目数も多い上に、各科目で深い知識を問われます。
法律初心者であれば最初は用語の意味すらわからないので、間違った学習をしているといつまで経っても合格できなくなってしまいます。
過去に司法書士試験の独学について解説した記事がありますので、興味がある人はご覧ください。
独学のメリット
- 他に比べて費用をかけずに済む
独学のデメリット
- 学習効率が悪すぎる
- 合格まで時間がかかる
- わからない時に誰にも聞けない
- お金をかけていない分、途中で諦めがち
司法書士の年収
司法書士の年収は勤務か独立かで異なります。
勤務司法書士でれば年収は400万円前後。
独立であれば、その人次第です。
独立後の司法書士の年収はどれくらい?と質問するのは、「会社を立ち上げたいけど年収はいくらくらい?」と質問するのと同じです。
しかし独立すれば年収に上限はありあせん。
自分の努力次第でいくらにでもする事ができるます。
司法書士の将来性
私は司法書士の将来性は十分高いと言えます。
なぜかというと以下のような要因が考えられます。
- 日本の高齢化により成年後見案件や相続にかかる登記案件の増大
- 社会の多様化により権利関係が複雑になっているため
近年ではAIの進化により士業の仕事はなくなってしまうんじゃないかという話がまことしやかに囁かれていますが、私は全く問題ではないと思っています。
むしろAIの進歩が司法書士の仕事をより効率化でき、プラスに働くのではないかと考えます。
なので、司法書士は将来性のある資格です。
まとめ:合格するのは難しいがその分の見返りは十分にある資格
今回は司法書士とは?という疑問について解説しました。
正直、司法書士をどんな資格か人に説明するのは資格を持っている自分でも非常に難しいと思いました。
それだけ司法書士は色々な業務ができて且つ深い知識を持っているんだ再認識しました。
普段の生活ではなかなか馴染みのない司法書士ですが、社会においてはとても重要な地位を築いておりこの先もさらなる期待が寄せられる資格です。
合格率だけで見ると司法書士は狭き門ですが、簡単に取れてしまう資格より何倍も意義のある資格なので、頑張って取るだけの価値はあります。
私も司法書士の資格を取ってからは人生が180度変わりました。
今回、司法書士という資格を知ったこの機会に司法書士を目指してみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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